その日を迎えてしまった。
恐怖と不安を隠せない顔で撮られた入隊当日の写真。
もし何かがあって死んだら両親宛に送られる写真だそうだ。
今見たら馬鹿みたいな表情で笑われる写真だが、当時には
「絶対に生き残って家に帰るぞ!」
って覚悟を毎晩思決めながら人生の中で一番
真面目に日々を過ごした時ではないかと思うんだ。
いったいなんで僕ら、この国に生まれた男建ちは
自分の黄金のような20代に命をかけて国を守らなきゃ
ならないのか、この国が僕のために何をしてくれたのか。
激しい競争、受験。。いつも学校で学んだのは
「無限競争社会に突入したお前の時代には1等に
ならないと生き残る事は出来ないぞ!」
と毎日言われながら「大学入試」という狭いトンネルを
通過してからまた迎える2年2ヶ月の「入隊」という「義務」は
あまりにも酷い運命ではないか。
基礎軍事訓練が続く50日間は毎晩、擦り切れて血を流している腕を
洗面所で洗いながら自分の立場を悲観した日々だった。

時間は流れ、一年位経ったのか。
いつまでも内の部隊で、誰かが呼んだら自分の名前を声が嗄れそうに叫びながら
素早く走ってそっちに向かえなきゃならない、小隊員の洗濯、掃除を毎晩担当して
最後に眠りについて、冬には凍ってしまった水道管をお湯を注ぎながら溶かして
素手で山のように積もった皿を洗わなきゃいけなかった
僕にも、部下が一人、二人。。どんどん増えてきた。
いつの間にか、母から手紙が一本届くと、トイレでこっそり読みながら
声が漏れないように泣いた自分の姿はなくなり、
今回の模擬戦闘の戦術とフォーメション、小隊員に安全を気にする軍人になっていたのだ。

時間は速いもので、永遠に来ない時みたいに思った
最終勤務の日を迎えた。
そんなに、毎晩カレンダーに一日一日消しながら790日を数えた
その日を迎えた。
だが、無限に「嬉しいだろう」と思ったその日を迎えたのに
なんかが残っている、寂しい気持ちを感じてしまった。
「俺が帰っちゃったら来週の戦略戦術軍連はどうするんだろう?
体力の弱いこいつ怪我したらどうするんだろう?」
などなど。。嬉しい気持ちももちろんあるけど、半分ぐらいは
この部隊の心配をしている自分を発見してしまったのだ。
。。。
点のように見えなくなるまで手を振っている無数の隊員に
背を向けて僕はまた社会に足を踏み出した。
なんでこの国に生まれたのか、
いったいなんで若さを犠牲してこの国を
守らなきゃならないのか。
頭の悪い僕にとってはまだ結論は簡単に出せないけど、
その答えは僕と一緒に流した仲間達の涙と汗、そして
作戦道中若い命を落とした隊員達の魂が
まだこの世の中で僕たちを見守っているからではないか。
終わり

P.S:
始まりの特集として真剣に書いてみたが、
計画より凄く長くなっちゃった。
つ。。。疲れた。。。
(-ㅂ-);;;;;;;;